“家づくり”は、「準備・計画」から「調査・設計」までに約5か月、「契約・手続き」までに5か月、さらに「工事・引き渡し」まででトータル約1年4か月かかるといわれている※、一生に一度の大事業。失敗しない家づくりをするためには、それぞれのプロセスで最低限必要な知識を持っておくことが大切です。
そこで、ぜひ知っておくべき家づくりの流れや基礎知識について、播磨エリアの工務店担当者にインタビューしました。
※期間は取材時の聞き取りから
目次
▶︎ ひまわり工房 東沙織さん
▶︎ コーラルハウジング 篠原潤子さん
▶︎ タツケンホーム 平野仁一郎さん
▶︎ コーヨーテック 井上由美子さん
▶︎ プレスト 寳川脩平さん
▶︎ アイフルホーム姫路店 岡田菜採さん
▶︎ new! BinO播磨 岡本葵さん
▶︎ new! ACE FORM 堀岡慶輔さん
(有)ひまわり工房
暮らしの設計士 東 沙織さん
共働き世帯にも優しい「動線から考える家づくり」を推奨。フォロワー数4万人オーバーのInstagramでは、ライブで家づくりの不安や相談に対応。
家づくりのご相談を受けて、最初にアドバイスさせて頂くのが「3つの掛け算」です。
まず「空間」とは、動線計画も含めた空間イメージ。“自分”に合った住まいのカタチを探すことが大切です。
次に「時間」とは、家を建てる時期。「待つこと」も選択肢の一つということを念頭に、自身にとって今が最適なのか、家づくりに集中できる環境にあるのかを考えてみてください。
そして「ひと」とは、パートナーとなる工務店選び。“あなた”と波長が合って相談しやすい相手を選ぶことが、成功につながります。
実現したいプランに優先順位を付けることも、大事なプロセスです。
様々なブログやSNSには多くの写真がアップされているので、サンプルとするプランも情報過多になりがち。すべてを盛り込むと予算オーバーになることもあるので、情報収集段階からランクを付け、優先順位を決めたうえでイメージを伝えることをお勧めします。
また、家づくりの基本は、やはり「暮らし方」。
現状の暮らし方を反映するのか、憧れの暮らしを目指して理想を描くか。
どちらを選ぶかも大切な選択です。
コーラルハウジング
設計士 篠原 潤子さん
住宅収納スペシャリストの資格を持つ篠原さん。そのノウハウを活かし、自身の経験も踏まえながら、良きアドバイザーとして家づくりをサポート中。
「〇〇風のデザインに…」「間取りは…」「収納は…」など、誰しもが、いろいろな要望やこだわりを携えて家づくりに望まれるはずですが、計画段階からその中に加えて頂きたいのが“住宅性能”です。
家づくりは家を建てて終わるのではなく、何十年という長い暮らしのスタート。
デザイン性や間取りももちろん大切ですが、将来の暮らしに目を向けて、快適性や住みやすさをもっと大切にしてもいいと思います。
断熱仕様や換気計画、パッシブ設計などを、総合的に設計に取り入れて、1年を通して快適に暮らしてゆける住まいに。
温熱環境も含め、理想の生活をするための住まいづくりであってほしいものです。
設計にあたっては、最近はネットやSNSにたくさんの画像がアップされていますので積極的に活用するのがオススメ。イメージを正確に伝えることができます。
さらに、購入予定の家具や家電、インテリアなどがあれば事前にサイズなども含めて伝えておけばプランに反映でき、納まりもきれいになるはずです。
最後に、「収納を豊富に」と希望される方が多いと思いますが、片付け方や整理の仕方は住まい手の性格によって異なるもの。たくさん収納を造ったがために、家じゅう物であふれる場合もあります。
“収納量の確保より片付けやすさ”を念頭に、自分に合った収納計画と、それに沿った設計が大事だと思います。
タツケンホーム(株)龍野実業建築家
建築部部長 平野 仁一郎さん
平野さんのポジションはコンシェルジュ。つねに施主側に立って打ち合わせやプランニングに携わり、施工管理の経験も活かして理想の住まい実現へと導く。
何から始めればいいのか。何を決めればいいのか。
初めての家づくりなら分からなくて当然。どんな家にしたいか決まっていない方もたくさんいらっしゃいます。それでも一生に一度の大事業、失敗や後悔は許されません。
そこで大切になってくるのが“最善のパートナー選び”です。
家族の嗜好やライフスタイル、住まいに求めるものなど、理想を実際のカタチに現すためには、担当者とたくさん話をして思いを伝える必要があります。その際、互いに話しやすくフィーリングが合う相手なら会話も楽しく、漠然としたイメージでもちゃんとくみ取ってくれるはず。
結局、家づくりも人と人。相性の良さが成功のカギになります。
「家を建てる」のはプロセスのひとつ。入居後に始まる“新たな暮らし”こそ大切なものです。
将来に渡って無理なく、ゆとりをもって楽しく暮らしていくためには、やはり無理のない資金計画を組んでおくこと。ほかにも、家づくりにはさまざまな過程がありますが、いつも寄り添ってくれるパートナーがいればどんな相談も安心です。
プロの視点でアイデアを凝らし、コストを抑えながら要望をカタチに。限られた予算の中でもきっと理想の住まいが描けるはずです。
私たちは「お客様にとって必要な存在であること」を理念として家づくりに取り組んでいますが、お客様に喜んでいただけると自分のことのようにうれしいものです。
株式会社コーヨーテック
姫路・赤穂店店長 井上 由美子さん
理想の住まいを夢見る家族たちと思いを共有しながら、同じ目線で家づくりに取り組む、井上さん。豊かに、幸せに暮らしてゆける『無添加住宅』の実現に尽くす。
家づくりも人生の中ではプロセスの一つ。建てて終わりではなく、「どう暮らしていくか」が大切。
そして、幸せに暮らしていくにはバランスのいいライフプランを描くことが必要です。
当社ではFPによるライフプラン相談の機会を設けていますが、「今が建てる時期なのか」タイミングも含めて、これからの人生設計を考えながらお家づくりを計画することをお勧めしています。
中でも資金計画は重要。
暮らしを楽しむためにはある程度の費用は見込んでおく必要があり、低金利とはいえ限度額いっぱいに借りて建築費に充てるようなことは避け、無理のない返済額を念頭に、家づくりの費用を算出すべきだと思います。
設計においても「暮らし」を反映してほしいと思います。
これまでの生活で感じた「不便や不快」な点の解消も大切なテーマですが、加えて、ご家族にとって“今”考える理想の暮らしとはどういった暮らしなのか、また、お子さんが成長していく“将来”はどう暮らしていくのか。暮らしのカタチを想定しながら設計を行うと、将来まで無駄なく快適に暮らしてゆけるはずです。
LDKに家族の居場所を作っておけば、「子供部屋はあればいい」レベルの広さで十分とも考えられますし、子供部屋を2つに仕切る場合も壁でではなく家具や建具で仕切るなど、プロの視点も活用しながら理想の暮らしを実現してください。
株式会社プレスト
代表取締役 寳川 脩平さん
「日々を愉しく過ごせる住まい」であってほしいと願いながら、家づくりに臨むという寳川社長。機能美あふれる“木の家”で理想実現をサポートする。
家づくりに失敗しないために最も重要なことは、ずばり工務店選びだと思います。
方向性が同じ場合の方が、“いい家”になる例が多いのは事実。
工務店にも必ず得意分野があるはずですから、まずは自分たちのイメージに近い何社かを選んだうえで施工例を見学。写真だけでは分からない所がたくさんあると思いますので、必ず何軒かの施工例を見るようにしてください。
特に、私たちが手掛ける「木の家」では、木の香りや素材感、室内の空気感は実際に体感してみることが必須です。
そして、忘れてならないのが担当者・設計士との相性。
「方向性が同じ」で、思いを共有できるパートナー選びが大切です。
プランニングにおいては「バランスのとれた家づくり」を推奨しています。
お気に入りの“デザイン”、地震への備えや快適な温熱環境を確保するための“性能”、将来まで見越した“メンテナンス性”、そして家計に直結するであろう“コスト”。すべてが100点というのは難しいはずですので、なるべく早い段階でどこに重点を置くかを決めておくと、完成までスムーズに進められます。
また、どんなプランであってもメリット・デメリットは必ずあるもの。
当社では、建てる側としてしっかりとお伝えするように心がけていますが、ご家族もまた、それを理解しながら家づくりに取り組んでほしいと思います。
アイフルホーム姫路店(株)三宅工務店
営業 岡田 菜採さん
コーディネーターという立場から、施主家族の家づくりに幅広く係わる営業職へと転身した岡田さん。前職の経験もフルに活かして家づくりをサポート。
室内環境の質を高めつつ大幅な省エネルギー化を図るのが昨今の家づくり。
当社では「10年先のスタンダード」を見据えた高気密・高断熱の家づくりに取り組んでいますが、住宅性能を高めることによって住み心地が良くなるだけでなく、空調効率が良くなることから光熱費も抑えられます。
その結果、現在の『家賃+光熱費』と、家を建てた場合の『住宅ローン+光熱費』を比較すると、家を建てた方が有利なケースがほとんどです。
今より快適な環境で暮らせるのに今より安い住居費で済む。もちろん、現在のローン金利の状況も加味してですが「早く建てた方がお得です」と言える理由がここにあります。
家を建てるメリットは、まだまだあります。
例えば、今の生活で不便に感じたり不快に思ったりすることを解消したり、お気に入りのデザインやライフスタイルを取り入れた住まいが実現できること。
家事が楽になる間取りや片付けのしやすい収納、子育てのしやすい環境づくりのほか、家族でおうち時間が楽しめる工夫や趣味を楽しむなど、暮らしの充実を図れるプランを実現することもできます。
賃貸暮らしより安いコストで暮らしの質を高められるのも、家づくりをオススメする理由です。
家づくりの第一歩はイメージづくりから。広さや素材感を体感するためにも、モデルハウスへ足を運んでみて下さい。
BinO播磨 (株)中塚組
コーディネーター 岡本 葵さん
「好きなことを仕事に」とインテリアコーディネーターの道へ進んだ岡本さん。家族の個性を大切にし、コーディネートを提案する日々が自分にとっても楽しく…。
家づくりの目標としてほしいのは「日々の暮らしを楽しめる住まい」を建てること。
その実現には、ご自身が「好き」と思えるものを住まいに取り入れていくことが大切だと思います。
もちろんそれは内外観のデザインだけではありません。弊社では、クロスから照明器具や家具、グリーンインテリアまでトータルコーディネートを推奨していますが、毎日大好きなものに触れて暮らすことが生活を豊かにしていくことにつながっていくはずです。
また、遊びや趣味の時間も心のゆとりにつながっていきますので、そういった時間を楽しむための空間づくりも、必ず間取りプランに盛り込んでほしいと思います。
BinOのように木目をふんだんに現した住まいで特にオススメしたいのが、モデルハウスの見学です。
室内空間の印象は使用する素材によって大きく変わるものですし、室内の大きさも体感してはじめて分かるもの。図面上では分かりにくいスキップフロアなどの独特の空間構成も、実感することで「思った以上に開放的で広く感じる」という方が多くいらっしゃいます。
また、家具やインテリアも素材感を大切にしながらコーディネートしていますので、きっと参考にしていただけるはず。
「オシャレな住まいでカッコよく暮らす」ためにも、住まい自体のデザイン性と室内コーディネートの両方を大切にしてください。
株式会社ACE FORM
代表取締役 堀岡 慶輔さん
未来を建築する」をコンセプトに家づくりに取り組む、堀岡社長。デザイン性にも住みやすさにも富んだ設計を得意とし、土地探しでも強い味方に。
家は30年・40年と暮らしていくものですが、家を建てる段階では60才、65才となった時のことまで「イメージできない」方が多いのが現実です。
グループ内に不動産会社をもつ弊社には、古家や土地の処分に悩むお年寄りからの相談が多く寄せられます。
ライフステージごとの暮らしや家族構成はどうなるのか。
住まいを住み継ぐことを考えるのか賃貸にするのか。
売却して住み替えるのか。
様々な事例をもとに将来を想定してライフプランを作成し、それに基づいて士地を考えプランを考えることが大切です。
今も未来も不安なく、心地よく暮らせる住まいづくり。それをサポートするのが私達の使命だと考えます。
実際の設計に入ると、やはり大切なのは「動線」だと思います。
仕事によっては通常とは異なる生活時間になる場合もありますし、そもそも朝起きてから夜寝るまでのご家族の生活ルーティンはどうなっているのか。休日の過ごし方は…?
自分たちにとっての動きやすさというのもきっとあるはずです。
私たちは、そういった「日常の暮らし」を間取り設計に反映するように心がけています。冒頭で申し上げたとおり「家は30年・40年と暮らしていくもの」。
何年経っても¨動きやすい・住みやすい¨と思える住まいであるためには、暮らしを見つめ直してしっかりと現状を把握し、家づくりに活かすようにして下さい。
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